フリーランスの魅力は「魂の自由」!? 自由を勝ち取るためのポイントに迫る。Dropbox主催イベントにmeeTalk代表山中が登壇
2022/08/22
フリーランスの働き方は「自由」が魅力と言われますが、どうやら「自由」は自ら勝ち取ってこそ得られるようです。自分らしく、オーナーシップをもって仕事をするためには、どんなスキルが必要なのでしょうか?それぞれの立場でフリーランスをサポートする4人が語りました。
Dropbox Japan主催のオンラインウェビナー「フリーランスが⽰す働き⽅改⾰〜新たな働き⽅を体現するフリーランスから学ぶ魅⼒と環境改善の必要性」が開催。
フリーランスの現状や働き方の魅力、必要とされるスキルとは?そしてトラブルが起こってしまった際の具体的な解決策など実践的なサバイブ術の共有です。
パネルディスカッションには、過去にフリーランスの経験もあるmeeTalk代表の山中直子が登壇。Dropbox Japan 代表 梅田成二さんをモデレーターに、プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会(フリーランス協会)代表理事の平田麻莉さん、そして弁護士に無料相談できる「フリーランス・トラブル110番」の運営を統括する山田康成弁護士とともにフリーランスの働き方について議論しました。
登壇者紹介:
梅田成二 / Dropbox Japan 株式会社 代表取締役社長(モデレーター)
平田麻莉 / 一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会 代表理事
山田康成 / ひかり総合法律事務所 弁護士
山中直子 / meeTalk株式会社 代表取締役
【開催概要】
主催:Dropbox Japan
日時:2022年8月8日(月) @オンラインウェビナー
「フリーランス白書」から見える働き方の魅力と課題 | 基調講演より
イベントは、平田さんの基調講演からスタート。自身も広報を生業とするフリーランスである平田さんは、2017年にフリーランス協会を設立しました。
フリーランス協会は、現在会員・フォロワー総数7万人を超える日本最大規模のフリーランスネットワークであり、フリーランスの声を集めて政府に届けたり(政策提言)、保険やリスキリングなどの福利厚生サービスを提供したりとあらゆる面でフリーランスをサポートする非営利の団体です。
〜保険や健康診断など、加入すると使えるさまざまな特典〜
フリーランス協会が実施した調査(「フリーランス白書2020」)データをもとに、その実情を紹介します。
◎会社員時代と比べての変化で目立ったものは
●「増えた」:「満足度」「スキル/経験」「自由時間」「自己投資」「生産性」「人脈」
●「減った」:「ストレス」「働く時間」
◎また、気になる「収入」については「増えた」・・・53.2%
「減った」・・・33.5%。
これについて平田さんは「子育てや介護の両立など、時間短縮の働き方を選択し、収入減を織り込み済みの方が含まれた結果だと思います」と説明しました。
満足度調査では、フリーランスの働き方は「満足度の高い働き方である」と概ね言えそうですが、一部「社会的地位」や平準化の難しい「収入」に関しては課題であることが見えてきます。
また、フリーランスの働き方の醍醐味である「場所にとらわれない働き方」については、テレワークの普及が進んだことで様々な業界で広がりました。
実際に、アフターコロナの働き方についての調査でも、「時間・空間の制約から解放」「兼業・副業・複業の一般化」「企業の内外を自在に移動する働き方の増加」が「進む」という結果が得られています。
Dropboxをはじめとした、リモートワークに適したツールなど環境整備も整い、ワーケーションや地方での副業に興味を持つ方も増えています。
■「仕事をする拠点」の選択肢が増え、様々なコミュニティとの接続も可能に
平田さんは「アフターコロナでは、ワークプレースは拡張していくと考えています。個人は副業やプロボノなど、さまざまなコミュニティに参加できるので、帰属意識の面でも流動化が進んでいくと思います。いろんな立場の方が『ミッションドリブンで集まり、ミッションコンプリートしたら解散』のようにプロジェクト化していくはず。また組織も、中の人/外の人という壁を作るのではなく、ネットワーク化し絡み合うような未来になるのではないでしょうか」と話しました。
しかし、フリーランスは裁量と経済自立性を得られる反面、事業リスクを追う責任と覚悟が必要とされる働き方です。
フリーランス当事者の課題認識:「休暇や所得補填」「保険・年金」「契約ルール整備」など
労働基準法の外にあるがゆえの課題もあり、調査結果からも「出産や育児、介護などのセーフティネット (休暇や所得補填)」「健康保険組合」「厚生年金」などライフリスクに対するセーフティーネットを求める声が多い状況です。また、企業との契約ルール整備なども課題となっています。
これらの課題に対して、フリーランス協会としては政府への働きかけを行っています。
また、事業者がフリーランスと契約する際の契約の明確化や禁止行為の明定など、フリーランス保護のための新法も国会に提出される予定で、まだまだ道半ばではあるものの、安心して働ける環境整備が少しずつ整ってきています。
フリーランスの魅力は、「魂が自由」であること
パネルディスカッションは、さまざまな立場でフリーランスを支援する4人が参加。「人間の力を増幅すること」が仕事のテーマであるという、Dropbox Japan 代表 梅田成二さんがモデレーターを務めました。
Dropbox実施の調査では「約7割のフリーランサーは転職やキャリアチェンジを考えてない」という回答があったことを紹介。一般的な会社員の結果と比べて高い割合であることを補足した上で、梅田さんは数値にも現れる「フリーランスの魅力」について、平田さんと山中に問いかけました。
まず、平田さんはその魅力について「魂が自由」と答えます。
「誰とどこで、何を生業に、どう働くかを自分で決められるのは豊かで幸せなことです。フリーランスは毎日が意志決定の連続。誰のせいにもできないですが、自分で選んだことなら納得感を持ってやることができます」(平田さん)
フリーランス経験があり、現在meeTalkで起業家やフリーランス女性を支援する山中直子もこの言葉には同意します。
「『魂の自由』、そうですね。時間やライフスタイルを決める裁量が自分にありが自由であることは、人生にオーナーシップを持てるとも言えます。また、大きな組織やプロジェクトでは個人名は表に出ないことが多いですが、仕事・活動の実績がクレジットでき個人にひもづけられることもフリーランスならではだと思います。個人的な経験では、引き受けた仕事の管理は自分で行うので、フリーランスであっても、その予算内で自分の好きなチームを作れることなども魅力でした。(山中)
自由を勝ち取るために必要な覚悟と交渉力、契約リテラシー
次のテーマは「フリーランスに必要なこと」。リアルな話が展開されました。
「自由」であることはフリーランスの本質的な魅力ですが、その「自由」が確保されないケースもあると、「フリーランス・トラブル110番」を運営する山田康成弁護士は話します。
「働き方の実態としては労働者なのに、本人も望まないまま個人事業主もしくは業務委託の位置付けにされていることも半数程度。これは社会全体で考えるべき問題です。また、心理的に発注者に縛られ、契約条件面でも要望を言えないという相談は多いです。組織に専従せず、自分で自分の値段を決め、仕事を始まる前に交渉をする、フリーランスとして働く覚悟が必要とされています」(山田さん)
「コロナ禍で明らかになったのは、契約書が存在せず、口約束だけで決まるプロジェクトも多いこと。たとえば、イベント自粛要請があった際に電話一本でキャンセルされてしまい、準備に費やした数ヶ月分の収入が入ってこないケースが散見されました。フリーランス協会も協力するフリーランス新法では、契約条件を事前に合意しエビデンスを残すことが求められますので、口約束でのトラブルが減ることを期待します」(平田さん)
「私もフリーランスとして働きはじめた頃に一度、納品後に『やっぱりいらなくなったので、払わない』と言われてしまったことがあります。当人としては信じ難いですよね(笑)。その事件の後から反省し、事前に業務範囲を明確にし、法的に裏付けることは重要です。一見とっつきにくい契約書ですが、できるだけ専門家に確認をしたり、同業者や仲間同士でもノウハウをシェアしたりと、どんな内容にすれば良いのかを確認していました」(山中)
■弁護士に無料相談できる『フリーランス・トラブル110番』
法律に関しては、「フリーランス・トラブル110番」(https://freelance110.jp/ )
のような無料の相談先があります。山田さんは「電話、メール、Web相談も可能なので、弁護士と話すのが初めてという人も気軽に相談してください」と話しました。
『フリーランス・トラブル110番』は、厚生労働省を中心とする関係省庁と6000人以上の会員数を誇る「第二東京弁護士会」がタッグを組み開設された相談窓口です。フリーランスをはじめ、個人事業主、クラウドワーカーなどの、労働基準法上の労働者とされない方が利用可能なサービスです。
あいまいな契約や報酬未払い、ハラスメント被害などさまざまなトラブルの相談を受け付けています。相談は無料で、匿名でもOK。相談で解決しない場合は和解あっせんまで、信頼のおける弁護士によるサポートを受けることができます。
支え合える仲間づくりと絶え間なき自己投資はサバイブの鍵
変化の激しい世界の中、「自分の力をアップデート」するためにはどうすればよいのか、モデレーターの梅田さんが投げかけます。
「フリーランスが一人で得られる情報や経験には限度があります。情報やノウハウを共有して社会の仕組みを理解し、お互い支え高め合う仲間を作ることが、フリーランスがサバイブするために大事です。限られた時間のなかで信頼できる情報を得るためには、フリーランス協会やコミュニティなど、ハブとなっているところを抑えるとより効率もいいですよね。また、困った時だけ求めるのではなく、日々自分ができる簡単なことでも周りに貢献し社会と信頼関係を築くのがよいと思います」(山中)
「フリーランスは、専門性や経験が対価になるので、自己投資は大切です。フリーランス白書の調査では、7割以上の方が自己投資していると回答した一方、営業活動をしている人は25%程度でした。自分を磨き、目の前の仕事の期待値を確実に超えることが、次の仕事に繋がります。自己投資の内容については、書籍を読むこともそうですが、自分の経験値になる、力を伸ばすような仕事を意識して受けているということです」(平田)
登壇者からのメッセージ:一歩踏み出した皆様と、刺激し会えるいい仲間に
meeTalk 山中直子からのメッセージ:
「スキルや認知度はもちろん大事ですが、縁や恩と義理なども仕事につながるポイントかと思います。スキルが高く該当ジャンルで一番だから発注している、というわけではない仕事は意外と多い。ご縁で自分を推薦や紹介してくれた方に感謝の気持ちをもって報告したり、一度関わった人へ『またこの人と仕事したい』と思っていただけるように。また、目の前のできることではなく、自分が関わる領域の「未来」を想像しながら、高い視座をもってやり続けることが大事。皆様と刺激し合えるいい仲間になれたらと思います」
ひかり総合法律事務所 山田康成さんからのメッセージ:
「フリーランスを目指す方は、会社員の安定した雇用と比べて不安があると思います。しかし、意外と「自由がない」「辞めたくても辞められない」ことに困っている相談が多いです。組織に専従せずに働くという自覚が必要。そのためのお手伝いとして無料相談先もありますが、相談先を見つけることも能力だと思います。和解斡旋までは我々が、代理人が必要になれば平田さんのフリーランス協会が提供している「フリーガル」(会員費1万円に付帯される報酬トラブル弁護士保険)を利用する、山中さんのように法人化する際には顧問弁護士に頼るなど、アドバイスも求める場合も気軽なところからステップアップしていくと良いと思います」
フリーランス協会 平田麻莉さんからのメッセージ:
「フリーランスの魅力は、自由であること。しかし自由を得るためには、力が必要です。専門性や分野でのスキル、経験値を上げるほか、契約や財務、税務、交渉力などの間接スキルも必要なのでツールを使いこなすことも重要です。さまざまな力をしっかり自分で身につけることを楽しめる方なら、ステップアップして自由な働き方ができるはずです。このウェビナーに参加している方は、既に一歩踏み出していると思いますので、協会としても安心して働ける環境づくりをお手伝いできたらと思います」
■Q&A
最後はQ&Aの時間でした。
一つ目は「リスキリング」自己啓発の方法について。平田さんが回答します。
「自分の能力をストレッチできる仕事を受けるのが、手っ取り早いと思います。また、専門性を深め、研ぎ澄ませるほか、幅を広げるリスキリングもあります。たとえば、『広報のプロ』だけだと選ばれにくいです。加えてマーケティングがわかるとか、教育・子育て女性に詳しいなど、掛け算できるタグを増やしていくことで希少性が高まり、選ばれる理由となります。縦と横の方向、両方でバランスよく広げていくと良いと思います」
二つ目は、「インボイス制度」に関わる質問がありました。(トラブルが起こった際などに、フリーランスの個人が)企業にとってネガティブな情報を共有することは名誉毀損になるのでしょうか?
「事実であれば、名誉毀損に必ずしもなる訳ではありません。しかし、つい勇み足で評価を加えるなどすると名誉毀損にあたり、足元を掬われることもあると思います。一旦冷静になって発信するべきです」(山田)
「私としても情報共有が、すなわち名誉毀損になるとは考えていません。また、インボイス制度導入に伴い、発注者側からの一方的な値下げや取引排除があった際には、通報することで調査・対策が行われるよう政府に訴えていきたいと思います。昨年までの時限立法「消費税転嫁対策特別措置法」では、違反企業名が公表されていました。政府の取り組みとしての公表制度があれば、フリーランス側も安心して通報しやすくなると思います」(平田)
登壇者プロフィール紹介(敬称略):
平田麻莉 一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会 代表理事
山田康成 ひかり総合法律事務所 弁護士
山中直子 meeTalk株式会社 代表取締役
梅田成二 Dropbox Japan 株式会社 代表取締役社長(モデレーター)
Dropboxの活用 Tips!〜
意外と知らないDropboxの使い方ヒント集
平田さんから、「力があれば自由になれる」という話がありましたが、ITもその力の一つです。最後に、Dropbox Japan代表梅田さんから、“便利だけど意外と知られていない”Dropboxの機能を教えてもらいました。
■大事なデータのバックアップ:Dropbox Backup
動画や写真、プロジェクトの成果物などをパソコンから定期的に外付けHDDなどでバックアップされる方も多いと思いますが、機器故障やバックアップ自体を忘れてしまうこともあります。
Dropbox Backupは、PC1台と外部ドライブ1台分に対して、容量無制限でバックアップが可能になります。シンプル操作で、自動的かつ継続的にクラウドにバックアップしていきます。転ばぬ先の杖としてご利用可能です。
https://www.dropbox.com/ja/backup
■マルウェアに感染したらどうする?バージョン履歴、データ復元
まずはマルウェアに感染しないようにするのが第一ですが、感染してしまったらバージョン履歴が格納されているので、感染前のものに復元することが可能です。無償版なら30日前まで、有料なら最大1年前までの履歴があります。フォルダごと感染しても、一気に巻き戻すことができます。
■効率的なデータ共有のやり方
ファイルの共有相手がDropboxユーザーでなくても、有効期限やパスを設定してファイルを「転送」することができます。無料でも200MB分のファイルを置くことができますが、こちらは閲覧に限ります。(左図)
チームで共同編集する場合は、「ファイル共有」機能が便利です。(右図)
■テキストでフィードバックするの大変じゃない? :Dropbox Capture
WEBページや動画など、デザイン中心の制作物に関しては、細かい修正点をテキストで伝えるのが難しい時もあると思います。その場合は、画面の指定した範囲を動画キャプチャして、ペンツールでのメモや、実際に喋りながらの説明を加え、伝えることができます。
ライター:eribousan
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